ATACK OF THE ALIEN

 宇宙人と話したことがあるか?
 大抵の奴は無いだろう。だが俺はある。例えばこんな具合だ。
「なあロブ、この記事じゃ@*+¥#&〜=で%>@?’$*って書いてあるんだけどさ、オレはこれに関しては*@_〜$#’=・<@%”*が一番だと思うわけよ。そんでこの×+%@*”&?_*〜¥$……」
 知るか!
 コンバーチブルで高速を飛ばしまくるといつも最高の気分になれる。が、それは一人で運転しているか、適切な人間を乗せている場合に限る事に最近気付いた。
 とにかく、この騒がしいリトル・グレイ野郎を乗せるのだけはダメだ。
「そうそう、それでこの前買った*+¥#&〜×+%@*”@%”$……」
「いい加減黙れ! 喋るんなら地球語で喋れ」
「はあ? 英語は地球語じゃないってのか?」
「お前の場合は、そうだ」
「何怒ってんだよ?」
 赤毛のチビに変装した宇宙人は、俺の肩を馴れ馴れしく小突いた。
「……いいか。千回ほど言ってる話だがもう一度言う。俺の車の中でパソコンの話はするな。繰り返す。俺の車の中で、パソコンの話は、するな」
「今はDVDレコーダの話をしてたんだけど」
「同じだ!」
「おいおいちょっと待て、コンピュータとDVDレコーダの話が同じ? そりゃ間違ってるよ! いいかロブ、DVDってのは¥#&〜×+%@*@_〜$#’=・<*……」
「…………」
 俺はバカらしくなって無言でアクセルを踏み込んだ。

 こいつの言っている事が分かる時もあるにはある。「腹減った」とか「あの青いブラが透けてる子、イケると思う?」だとか、まあそういう話は一応地球語になっている。
 しかし飯の話や女の話を楽しく出来るような相手でもない。これだけの金を手にした今でもこいつの昼飯は毎日マクドナルドだし、女に関してはそれこそ話にならない。
 ということは、俺がこいつと一緒に行動する理由もほとんどない。いや、全くない。
「なあ、お前ん家着く前にパーツ屋寄ってくれよ」
「時間の無駄だ」
「急ぐことなんてないじゃん。寄ってくれよ。大した回り道じゃないだろ?」
 だけど、目の前に宇宙人が現れたら誰だって好奇心が湧くだろう?
「大体、オレに見せたいものってなんなんだよ」
「いいから黙ってろ」
「それって新しいアストン・マーチンとかじゃないだろうな。だったらここで降りる」
「……いいから、黙れ」
 俺は心の中で銃を構える。ガキの頃映画で観た、地球に侵略して来た宇宙人をやっつける 特殊部隊の気持でだ。
「なんでいっつも怒ってばっかいんだよ?」
 宇宙人は手強い。でもどの映画でだって最後は悪い宇宙人が負ける。ヒーローである俺の手に墜ちるはずだ。
 だが、その宇宙人の手が突然俺の袖を引っ張った。
「……黙ってたら、パーツ屋寄ってくれる?」
「…………バカか、お前は」
 俺は溜め息を吐きながらハンドルを切る。今はとりあえず、正義の特殊部隊はエイリアンの無差別攻撃にやられっぱなしのままだ。

                                    END


なんでこんなに半寒(攻)が乙女なんでしょうか……。笑って許して!
……私、ハーレクインなベタい雰囲気大好きなんです。心の底から……。

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