ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

01年/米 監督・出演:ジョン・キャメロン・ミッチェル 出演:マイケル・ピット
泣きどころ:ミリアム・ショア


 nanashi導師の御好意で試写会で観られた映画。マエストロ周防さんもご一緒。わーいわーいタダ映画だ!と気楽に喜んでいたのですが、良かった…。

 ストーリーは、東ドイツ生まれの少年が米軍兵と出会い恋に落ち、結婚のため性転換を決意。しかし手術が失敗してチンポが1インチ残ってしまった。彼は母親の名を取りヘドウィグと名乗りアメリカに渡る。そこで離婚を経て、ロックバンドを結成しつつ一人の少年と出会うのだが、彼はヘドウィグの曲を盗んだ上スターになってしまう。かくしてヘドウィグは1インチのチンポとバンドメンバーと共に、彼を追いかけるドサ回りに出るのだが…という感じ。

 どこかの紹介記事に「21世紀のロッキーホラーショウになれるかも」と書いてありましたが、頷き半分首かしげ半分。確かにメチャクチャでキャンプでロックでテンション高いんだけど、ロッキーとはちょと違うかも(化粧はヘドウィグの方が濃ゆいが)。とにかく曲が素晴らしくいいんですよ。歌詞も最高。デボラ・ハリーみたいなスタイルで仁王立ちで歌い踊るヘドウィグの迫力もさる事ながら、黄金期ロックのイイとこをラメとファーで煮込んだようなグラムでパンクでハードでメロウな音楽の格好よさ!冒頭からシビれます。そして途中途中に挿入されるアニメーションがかなりいい。ニキ・ド・サンファルの絵のようなキャラクター。可愛くてちょっとグロくて切ないアニメーション。そしてボディガードのテーマ(爆笑っス。観てのお楽しみ)…。よい映画であった。

 ヘドウィグのバンドメンバーがまたキャラが立っててイイ。特にヘドウィグの二人目(?)の夫イツハクが最高!本当はドラァグ・クイーンになりたい願望を持ちながらもヒゲ面のムサいルックスでヘドウィグに振り回されている、捨てられた子犬のような眼の男。バンドではコーラスも担当していて、やたら可愛くて高い声だなあと思っていたら演じているのはなんと女性!どう見ても男だよ〜(ヒゲの生え方とか。特殊メイクって凄い進歩してるんだな…)。他にもアングリーインチのメンバーは、初期マニックスみたいな奴もいればピストルズ経由パンクス、ヘルスエンジェルス系やグレイトフルデッド系もいるわでスタイルバラバラ。ちなみにマニックス野郎は楽曲の作詞作曲を担当しているそう。

 しかしこれだけ強烈なキャラクターを押しておきながら、あくまでテーマは愛であってセクシュアリティにやたらと拘った描き方はしていない。あとこの手の映画にありがちなドラッグ描写が一切無いのも面白い。やはり人生に愛は不可欠か。そうか。ヘドウィグのセリフに「愛は創造よ」というのがあるんですが、なんだかそこで妙にホロリとしてしまいました。一番感情移入したのはやはりイツハクでしょうか。自分のセクシュアリティが分からない(分かってはいるんだけど踏み出す勇気がない)イツハクの演技は最高だ。私も正直自分がゲイなのかバイなのかなんちゃってレズなのかやたらと悩んでいた時があったんですが…まあ分別するとしたらバイなんでしょうが、でもバイって言うとゲイの人からは中途半端、ヘテロからは遊んでると言われるのが辛いのだよな…と。でもこの映画観てると、いいじゃないのよ!動いてるもんにならAIBOにだって欲情してやる!大切なのは愛よ!とタンカが切れる気分になりました。ケツの穴の小さい、もしくはガバガバのあなたに観てもらいたい『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。ロックで泣け!そして人は皆孤独(珍しいシメ方だな)。


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